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自転車に免許は必要か? 自転車特権の背景 後編

 理由はともあれ、自転車には免許がありません。したがって「危険人物を公道から排すること」はできません。交通ルールをまだ十分に理解していない幼児でも、信号無視など危険な走行をする者も、無条件に自転車で公道を走ることが許されています。
 しかし、「知識や技術の不足によって引き起こされる危険の回避」は可能なのではないでしょうか。東京都荒川区が実施している「自転車運転免許証制度」はそのような期待を持たせる取り組みです。
 荒川区では、自転車運転免許証制度を全国で始めて実施しています。免許がないからといって自転車に乗ることができなくなるわけではありませんが、免許を取得する過程で交通ルールや自転車の運転技術を学ぶことができるので、事故防止につながっています。この制度では、免許取得にあたって、まず交通ルールや自転車の乗り方に関する講義があり、その講義内容が理解できているかを問う筆記試験があります。その後実技指導を受けて技術的にも自転車の安全な走行を身につけ、晴れて免許取得なります。
 荒川区のように大きく活動している例は珍しいですが、似たような取り組みが学校や地区単位で行なわれている例は多くあるようです。みなさんの中にも、小学生のときには学校から与えられる「免許証」がないと、放課後の自転車利用が許されなかったというような人がいるのではないでしょうか?ヨーロッパでは、自転車の乗り方についての授業を、小学校のカリキュラムのなかに組み込んでいることも多く、それまでは単独での移動手段が歩行のみだった子供たちが自転車を運転する上で危険が無いよう配慮されています。歩いたことしかない人がいきなり車(自転車は法的にも立派な車両ですよ!)を運転するのは危険ですから、しっかりステップを踏んでから運転することが大切です。
 地域ごとの自転車免許制度は、危険人物への法的拘束力はありませんが、交通事故の防止には確実に効果のある取り組みです。このような取り組みが今後ますます広がっていくことで、交通安全、そして自転車に関係する社会問題の解決が図られることを期待したいですね。